Q1 定款の変更を行うにはどのような手続きが必要ですか。 |
A1 定款の変更には、定款の定めにしたがって決められた手続きを踏む必要があります。
一般的な都道府県が出しているモデル定款ですと、社員総数の2分の1以上が出席した総会で、出席者の
4分の3以上の多数の議決を得ることで定款の変更は可能となっております。
定款の変更には以下の軽微な事項を除いて所轄庁の認証が必要となります。(認証まで3〜4カ月かかります)
<認証が必要ない主な変更事項>
・主たる事務所の所在地の変更(所轄庁の変わらない場合)
・役員の定数
・資産に関する事項
・公告の方法
定款変更は登記をしなくても認証を受けることによりその効力は生じますが、登記事項に関する変更があった
場合は2週間以内に変更の登記を行うことが必要です。 |
Q2 定款変更で法務局にも登記の変更手続きが必要なものは何ですか。 |
A2 法人の名称、事務所の所在地、目的、活動の種類、事業の種類、に関しては登記事項となっていますので
定款を変更した場合は法務局に登記の変更が必要です。また、理事の氏名及び住所、資産の総額に関しても
登記事項となっているので変更の登記が必要です。 特に役員に関しては任期を終えて(通常2年)さらに引き 続き再任される(重任といいます)場合も変更の登記が必要になりますので注意が必要です。
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Q3 事業年度が短い期間で認証を受けた場合にも所轄庁に事業報告書などを提出する必要がありますか。 |
A3 例えば法人の事業年度が毎年4月1日から始まり翌3月31日に終わる法人の認証が2月1日に下りた場合に
1ヶ月間だけの事業報告書などの提出書類を事業年度終了後3ヶ月以内の6月末までに提出する必要があるか
どうかですが、基本的には1ヶ月間だけでも報告書を提出する必要があります。
ただし、所轄庁によっては最初の事業年度が認証のタイミングによって極端に短い場合には、第1期については
事業報告書には「この期間は、事業の実施に至りませんでした。」とし、収支計算書や財産目録、貸借対照表も
すべて0円として報告することも可能です。
この辺りの取扱は所轄庁によって考え方がまちまちですので、それぞれの所轄庁にご確認ください。
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Q4 役員や入会金・会費が変更になった場合は定款の変更をする必要はありますか。 |
A4 定款には「本則」(定款の本文)と「附則」があり、「附則」には本則を補足するための設立当初の措置が定め
られます。 したがって、役員の氏名や入会金・会費の額が定款の附則にだけ定められている場合(一般的
には附則で定めます)は定款の変更は不要です。
逆に、会費の額等が本則に定められている場合は定款の変更が必要になり、所轄庁の認証も必要になります。
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Q5 法人の事務所の所在地を変更した場合はどのような手続きが必要ですか。 |
A5 主たる事務所の所在地を変更するには、定款に定める手続きに従い、定款の変更を行った後で、法務局に
変更の登記を行い、登記完了後に所轄庁に変更の届出を行います。
また、定款には事務所の所在地を市区町村名までしか記載していない法人に関しては、登記自体は必要ですが
定款の変更は必要ありません。 従いまして、登記完了後に所轄庁へ変更届出をおこなうことになります。
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Q6 NPO法人の主たる事務所を隣の県に移したいのですが、手続きはどのようになりますか。 |
A6 事務所移転の手続きの申請先は移転先の所轄庁となります。 移転を希望する都道府県で事務所移転に
必要な書類を確認し、必要書類を旧所轄庁(今まで事務所のあった都道府県等)へ提出します。
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Q7 法律上、役員には役員総数の3分の1までにしか報酬を支払うことはできないと決められている
ようですが、私のNPO法人は役員4名(理事3名と監事1名)で運営しています。
役員の方には法人の会計の仕事や事務的な仕事を含めて様々なことをやって頂いております。
このような場合でも役員が4名ということで、その3分の1である1名にしか役員報酬をお支払いする
ことができないのでしょうか。 |
A7 上記の場合は役員報酬としては確かに1名までしかお支払いすることはできませんが、労働(労務提供)の対価
としての給与(金銭)はお支払いすることができます。(むしろ支払わないといけません)
法律で制限している役員報酬とは、分かりやすく言うと「役員という立場に就いているだけ」でもらえる金銭と考え
て頂ければと思います。
ただし1つ注意が必要なことは、監事に関しては法人の職員との兼職は禁止されているので、法人の職員として
給与を支払うことはできません。 役員報酬として支払うことにするほかありません。
実際には小規模のNPO法人などでは監事とはいっても実際には理事と同様に法人の運営上の様々な業務に
携わることは多いと思いますので、実務上はこのような方法をとることもあります。
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Q8 特定非営利活動に関する事業のほかに、その他の事業も行う場合には何か制約はありますか。 |
A8 NPO法人では本来の事業としての「特定非営利活動に関する事業」と「その他の事業」の2種類の事業を
行うことができます。その他の事業は公序良俗に反しなければ基本的には何を行っても構いません。
(ただし、許認可を必要とする事業に関しては許認可の取得が必要です)
その他の事業は本来の事業である特定非営利活動に係る事業の補完的に行われるものであり、法律上、
法人の総支出額の2分の1を上回る規模では行うことはできません。
法人の総支出額が500万円でしたら、250万円以上をその他の事業の支出に充てることはできません。
収益に関しては上限の決まりはありませんが、その他の事業で利益が出た場合は本来の事業である
特定非営利活動に係る事業に全額繰り入れなければなりません。
また、特定非営利活動に係る事業の支出よりも、その他の事業に係る支出の方が多い状態が続くと所轄庁
より改善命令が行われます。
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Q9 役員の選任に関して定款では総会で決めることになっていますが、これを理事会で決めるように
変更することはできませんでしょうか。 |
A9 役員のうちで「監事」に関しては法律上、総会で決めることになっていますのでこれを変更することはできません。
「理事」に関しては都道府県のモデル定款では総会で決めるような設定になっていますが、これを理事会で決め
るように変更することは可能です。 この他でも法律上総会で決めなければならないとされている事項以外は
理事会で決めるようにすることができます。 このようなNPO法人を理事会主導型のNPO法人といいます。
理事会主導型のNPO法人に対して、できる限り社員総会での総意に基づいて運営をしていこうとするのが総会
主導型のNPO法人となります。
理事会主導型のNPO法人は法律上何の問題もありませんが、ほとんどの所轄庁のモデル定款が総会主導型
の定款を採用していることからもわかるように、所轄庁は理事会主導型の定款を嫌がります。
しかしながら、所轄庁にきちんと説明をして理解してもらえば何の問題もありません。
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Q10 NPO法人の会計はどのようにすればよいのでしょうか。 普通の会社の会計とは違うのでしょうか。 |
A10 基本的にはNPO法人の会計も一般の会社の会計と同じです。
ただし、NPO法人では財産目録、貸借対照表、収支計算書を作ることになっていますので、貸借対照表と損益
計算書を作る一般の会社の会計とは若干異なります。
NPO法上では、一定の会計処理の方法を継続して適用し、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すれば、特に
決められた方法はありません。
極端な話、発生順に正しく記載し、分類すれば、家計簿のような単式簿記の方法でも問題ありません。
また、NPO法人向けの会計ソフトもありますのでそちらを使用しても良いと思います。
ソリマチ株式会社 会計王 NPO Limited シリーズ
NPO会計支援センター ee-会計
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Q11 法人住民税の減免申請について詳しく教えてください。 |
A11 税法上の収益事業(※)を行っていないNPO法人に関しては法人住民税の均等割(都道府県約2万円、市町村
約5万)」は自治体に届け出ることによって減免又は免除してもらえる制度があります。
この制度は収益事業を行わないNPO法人自らが毎年4月ごろに法人住民税の減免申請書を提出しなければ
適用されません。
減免申請に関しては毎年提出が必要な自治体もあれば、県税事務所などに「法人設立届」を提出する際に収益
事業を行わない旨の申出をすることにより、別途の届出は必要ない自治体もあるなど各自治体ごとに取扱が
異なるので必ず確認をしてください。
※ 税法上の収益事業に関してはこちらをご覧ください
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Q12 任意団体からNPO法人を設立した場合の会計や備品等の引き継ぎはどのようにしたらよいので
しょうか? |
A12 任意団体とNPO法人とは実質的には同一の団体であっても、形式的には別々の組織となりますので会計や
財産をそのまま引き継ぐことはできません。
現金預金に関してはNPO法人設立後に一定の日を決めて任意団体の口座から引き落として、新たに作った
NPO法人としての口座に移し替えることが必要です。 このときの会計上の処理は寄付金として処理するのが
一般的です。 NPO法人への寄付金に関しては非課税の扱いになっています。
また、備品に関しては財産目録に「現物出資」として処理すればよいと考えられます。
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Q13 所轄庁が認証の取り消しを行うのはどのような場合ですか。 |
A13 所轄庁は、NPO法人が、次の2つの事由に該当すると認めるときには、設立の認証を取り消すことができると
しています。
まず、改善命令をしたのにもかかわらず、これに違反した場合であって、かつ、その他の方法により監督の
目的を達することができない場合や法令に違反した場合であって、改善命令によってはその改善を期待する
ことができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達することができない場合は認証の
取り消しを行うことができるとしています。 原則的には、取り消しの前提として、改善命令が出されます。
次に、3年にわたって、事業報告書や役員名簿などの所轄庁への報告書類等の提出を行わない場合も認証
を取り消すことができます。
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